まだ肌寒かった4月初旬の朝。
山に入ると元気な歌声が聴こえて来た。
高い木のてっぺんで囀っていたのは、青い鳥。
その青い鳥は時々場所を移動しながら長い間、木のてっぺんで大声で囀っていた。
初めて出会ったオオルリだ。
もっと近くで見てみたいな。下りて来てくれないかな?
そう思っていると、スーッと下りて来て目線の高さぐらいの枝にとまってくれた。
その姿を見た瞬間ショックを受けた。
お腹の白い羽はぼさぼさ。
とても疲れているように見えた。
オオルリはツバメと同じように春、東南アジアから海を渡ってやってくる夏鳥だ。
ここまでの道のりがどれだけ過酷なものなのだったかと物語っているようだった。
ぼさおと同じ時期にやって来ていた綺麗なオオルリ(いけお)もいた。
いけおはしばらく囀っていたけど、すぐにパートナーがやって来たみたい。
他のオオルリには次々にパートナーがやって来ていたけど
ぼさおにはなかなかパートナーがやって来ない。
お腹のぼさぼさがカッコ悪いから?
でもぼさおは諦めずに歌い続けた。
朝から夕方まで。
その姿は生き生きとしていたんだ。
ぼさおは休憩に下りて来ると
餌を捕ったり、歌を歌ったり、水浴びしたりして過ごしていた。
最初はこちらに背を向けていたけど、そのうち興味を示し
自分からこちらに寄って来るようになった。
まるでこちらの様子を観察されているみたい。
ねえ、ぼさお。
木々の葉っぱの緑が豊かになって来たよ。
川のせせらぎがとても心地良いね。
とても空気が美味しいね。
ぼさおたちが選んだこの場所は
人間にとってもとても居心地の良いところだね。
なかなかパートナーがやって来なかったけど、
ぼさおはここが気に入ったのかずっとこの森に留まっていた。
諦めずにずっと歌い続けたぼさお。
ついにパートナーを見つけることができた。
本当に嬉しかったよ。
ぼさおたちは今、この瞬間を一生懸命に生きていた。
ぼさおに出会ってとても大切なことをたくさんおしえられたよ。
まだ肌寒かった頃に出会い
それから約4ヶ月間、色々な表情を見せてくれたぼさお。
私にとってぼさおと出会ったことは奇跡。
ぼさおと過ごした時間は宝物でした。
ありがとう、ぼさお。